医療業界に特化した某人材紹介会社に勤務している村中です。 今回は患者数が年々増加してきている透析についての記事です。 患者数の増加に伴い、病院だけでなく、透析クリニックの開業も増えてきており、それに伴い看護師のニーズも増加しています。特に日勤のみで働けることや、お給料が高いことからも人気な分野です。 透析看護師の仕事内容をみていくためには、まず透析とはどのような医療なのかを知る必要があります。ここでは、透析という治療法についてまず解説しながら、透析看護師のくわしい仕事内容や透析看護師として働くメリット・デメリットについてもご紹介します。

透析とは？

さまざまな疾患による腎臓の機能低下により、血液をろ過する機能が失われてしまうことがあります。血液をきれいに保てなければ生命維持に影響があるため、その場合には医療によって人為的に血液のろ過が必要になります。それが「透析」と呼ばれる治療です。　　

透析には「血液透析」「腹膜透析」の2つの方法があります。

「腹膜透析」の場合、患者さん自身が自宅でおこなえ、月1～2回の通院があります。いっぽう「血液透析」は、その都度通院して透析室で透析をおこないます。だいたい週に3日ほど通院し、治療にも時間がかかってしまいます。「透析に携わる看護師」とは、血液透析をおこなっている病院で働いている看護師と考えるとよいでしょう。

透析看護師はどんな仕事？

透析室での看護師の仕事には、おもに次の業務があります。

透析機の準備や透析中の医療行為患者さんの血圧や体重測定などの準備から、透析開始後の穿刺や抜針、止血なども看護師がおこないます。

患者さん自体の体調管理や観察透析を受けている患者さんの様子をつねに観察し、体調や血圧などの変化がないかしっかり看護をします。

透析患者さんは食事制限や運動制限など多くの指導を受ける機会が多いのですが、それらの生活・健康に関する指導も看護師がおこなっています。患者さんとのコミュニケーション能力も、意外に重視される職場です。

透析看護師として働くメリット・デメリットは？

メリット1

透析科や透析クリニックに勤務する場合、患者さんの予約数や予定が事前に決まっているため、業務も予定時間にきっちり終わる事がほとんどです。そのため、残業が発生することは稀で、毎日定時で終業することができます。また、ほとんどの職場で夜勤がありませんので、生活リズムを崩すことはありません。

メリット2

透析クリニックや透析科は、基本的に土日祝日が休みのため、透析看護師も休みをしっかりと確保することができます。但し、総合病院の透析科などではこの限りではありませんので、就職・転職を検討する時には、勤務体系の確認が必要です。

メリット3

業務の煩雑さが少ないです。透析看護師の業務は大変専門性が高いため、初めは覚える事が多く大変です。ですが仕事の流れややるべきことは大体決まっているので、慣れれば比較的スムーズに仕事をこなしていく事ができます。

また専門性を磨けるので、認定看護師などの資格を取得してスペシャリストとしてキャリアアップしたい看護師さんにも向いている職場でしょう。

デメリット1

患者さんと長期間にわたって接することとなるため、高いコミュニケーション能力が求められます。

特に、透析患者はその施設・クリニックの常連であるケースが多く、新人を極端に嫌ったり、スキルや知識がまだ未成熟な看護師に対して、辛辣な言葉を投げかける事も少なくありません。そのため、患者さんの言葉に傷つくことや、コミュニケーションがうまくとれずに、大きなストレスを抱えてしまうことも少なくありません。

デメリット2

つぶしがきかない総合病院などに勤務する看護師は、様々な科を行き来して幅広い知識や技術を身につける機会を得られますが、透析看護師は専門性が高いため、透析分野の経験を深めていく事となります。しかし、透析に関するスキルや専門知識を向上させることはできますが、他の診療科での実績を積むことが出来ないため、透析科以外への転職が難しいという一面があります。

透析看護師は良くも悪くも専門的な仕事が中心となるため、一般的な看護師の仕事とはかけ離れた仕事内容になりがちです。

透析の仕事に興味・関心があり、その分野の専門家をめざしているならメリットの多い職場といえますが、もっと一般的な看護に広く携わりたいと考えているなら、それがデメリットになる可能性もあります。

一般病棟などから透析室に転職した場合は、専門的な業務をまず覚えることが要求されますから慣れるまではかなり大変かもしれません。逆に、透析室で長く仕事をしてきた看護師が他の診療科へ転職する場合は、転職先での看護業務を覚えるのが大変になる可能性があります。

通常の看護師から透析看護師にはなれるのか？

透析室で働く看護師は、先にご紹介した通り専門的な業務が多くなります。透析看護師は常時多くの求人があるため転職そのものはそれほど困難ではないでしょうが、最初に覚えることや身につけることがとても多いため、転職直後はさまざまな意味でちょっと大変かもしれません。

ただ、透析看護師は日勤・平日勤務の看護師としては給与水準は高め。夜勤などをこなすことは難しいけれど、病棟の看護師並みのお給料を維持したいという方にはおすすめの職場です。

また、透析看護師をすることにより資格取得への近道になる場合もあります。たとえば「透析療法指導看護師」や「透析技術認定士」、それに「透析看護認定看護師」などの資格制度があります。特に認定看護師の資格はキャリアアップの足掛かりになりますから、透析看護師として長く勤めたいと考えているなら取得を視野に入れておくのも一案でしょう。

まとめ

今回は、看護師業務のなかでも特殊な技能が要求される、透析に携わる看護師のお仕事についてご紹介しました。転職先として透析治療をおこなう医療機関を考えている看護師さんなどは、ぜひご参考にしてください。