国民病とも言われる糖尿病に対応するために、近年では糖尿病内科を設ける病院やクリニックが増えてきています。 看護師の転職先としても、糖尿病内科は検討するべき診療科の一つです。 今回は、看護師が糖尿病内科への転職で得られるメリットやデメリット、転職での注意点について見ていきましょう。

看護師が糖尿病内科へ転職するメリット

看護師が糖尿病内科への転職をすることで得られるメリットとはどのようなものなのでしょうか。

ここでは、糖尿病内科の業務内容を踏まえながら、転職でのメリットをご説明します。

患者への指導経験が積める

糖尿病内科では、患者への指導を重要視しています。

糖尿病内科には「教育入院」という特徴的な入院制度があり、指導を受けるためだけに入院する患者がいるほどです

糖尿病の基本的な治療方法は、食事療法と運動療法であり、看護師はそれぞれの患者に適した指導を行います。

また、インスリン注射の使用法や、下肢の壊疽防止のためのフットケアのやり方などの指導業務も行います。

それぞれの患者に合わせた指導方法を行うなかで、指導のスキルやコミュニケーション能力が向上することでしょう。

また、健康指導の経験は将来的に保健師を目指している看護師にとって貴重なものとなります。

認定看護師を取得するきっかけとなる

糖尿病内科への転職は、看護師としてのキャリア形成にも役立ちます。

認定看護師の特定分野の一つに「糖尿病看護」があります。

資格取得のためには、血糖パターンマネジメントやフットケアなどのスキルが求められるため、糖尿病内科での勤務経験は大いに役立つこととなるでしょう。

スキルアップのみならずキャリアアップを目的とした転職先としても、糖尿病内科はおすすめの診療科です。

糖尿病の専門的な知識が身につく

糖尿病に対する看護ケアは、主に以下に分類されます。

• 全身状態の観察
• 血糖測定
• インスリン療法
• フットケア
• 食事や運動などの生活指導

これらの糖尿病に特化した看護ケアの知識は、今後の看護師人生には欠かせないものと言えます。

なぜなら、今後どのような診療科へ転職したとしても、糖尿病患者はほぼ確実に存在するからです。

高度な糖尿病ケアを提供できることは、看護師としての強みとなります。

他診療科のスタッフとの連携を経験できる

チーム医療の大切さが唱えられている医療業界ですが、実際には連携が不十分な診療科も少なくありません。

一方で、糖尿病内科では他診療科との連携を経験することができます。

糖尿病は合併症として網膜症や腎症、神経障害などを併発しやすい疾患です。

そのため、必然的に眼科や泌尿器科、神経内科などと連携することになります。

さまざまな診療科と情報を共有しながら治療にあたる経験は、看護師としてとても貴重なものとなるでしょう。

看護師が糖尿病内科へ転職するデメリット

糖尿病内科への転職では、メリットが多い反面、デメリットも存在します。

転職を失敗しないためにも、糖尿病内科のデメリットについて把握しておきましょう。

検査が多く忙しい

糖尿病内科は、ADLが自立している患者がほとんどであるため、看護師の身体的な負担は比較的軽いものです。

しかし、意外と業務が忙しいといった点がデメリットとして挙げられます。

糖尿病内科では血糖測定や頸動脈エコー、合併症検査（腎機能、眼機能、末梢神経機能）など、一人の患者が受ける検査の種類がとても多くなっています。

そのため、糖尿病内科に勤務する看護師は検査業務に追われることになるのです。

「仕事の内容が楽そうだから」と安易な気持ちで糖尿病内科への転職を決めてしまった場合、転職後に後悔することになるかもしれません。

患者とのコミュニケーションで悩むことも

糖尿病内科では、指導などで患者とのコミュニケーションを取ることが多いですが、そのなかで上手く関係性を築けないことに悩んでしまう看護師もいます。

先ほどもお伝えしたように、糖尿病患者はADLが自立しており、一見すると身体は元気な人がほとんどです。

そのため、糖尿病が進行することのリスクを十分に理解してもらえず、運動や食事療法などの指導をしても、その通りに行ってもらえないケースも珍しくありません。

リスクを認識していない患者への指導はとても難しいものです。

また、糖尿病患者が既婚者の場合は、その家族への指導も欠かせません。

患者やその家族を含めた人達に、糖尿病のリスクを正しく認識してもらったり適切な運動・食事療法に取り組んでもらったりすることは、大変な根気が必要となります。

看護師が糖尿病内科へ転職する際の注意点

糖尿病内科への転職で注意するべきポイントは、転職先がどのような特色であるかを認識する必要があることです。

糖尿病内科でも、糖尿病専門医が在籍していて高度な糖尿病医療を展開しているところもあれば、他診療科の付属として設けられているようなところもあります。

糖尿病内科の重要性は認識されているものの、実は単科で設置されている病院はまだまだ少ないのが現状なのです。

そのため、糖尿病内科の転職では、転職先の特色を把握しておかなければ「こんなはずじゃなかった...」と転職後に後悔する可能性が高いでしょう。

転職先の特色や情報を把握するためには、転職サイトを利用することをおすすめします。

転職サイトに在籍する転職コンサルタントは、転職求人案件の詳しい情報や内情を把握しており、あなたが求める条件に合った転職先を紹介してくれます。

また、転職サイトにはサイト上に掲載されていない非公開求人もあるため、より選択肢が広がることでしょう。

糖尿病内科への転職の際には、ぜひ転職サイトを上手く活用し、あなたの転職を成功させてください。