専門看護師は、昨今の医療現場における専門分化が進む中、日本看護協会が1997年に定めた認定制度です。 看護ケアの質の向上を目的とした資格として取得を希望する看護師は多く、年々取得者数は増加傾向にあります。 しかし、専門看護師資格を取得するためには、大学院に通学しなければならず、「働きながらでは無理」「負担が大きい」ということで諦めている看護師もいるのではないでしょうか。 実は、あるコツを知っておくことで、専門看護師は働きながらでも取得することが可能です。 ここでは、働きながら専門看護師資格を取得する方法や、資格を取得することによるメリットなどについてご説明します。
目次
専門看護師資格取得で得られるメリット
必ず看護スキルが向上する
専門看護師は、資格取得の課程で必ずスキルアップができるようになっています。
資格を取るためには、日本看護協会が定める専門看護13分野のいずれかについて、臨床での経験や教育機関で学ぶことになります。
そのため、必然的に看護スキルが向上することになるのです。
大学院課程では、患者個人やその家族、集団までを視野に入れた実践的な看護能力を身につけます。
また、特定疾患についての研究活動を行える能力も身につきます。
つまり、幅広い視野を持ちつつ、高度な知識を患者に提供できるスキルが必ず身につくのです。
専門分野のエキスパートとして見られる
専門看護師の資格取得後に、資格を活かせるポジションにつければ周りの看護師や医療従事者はもちろん、患者からの見る目も変わります。
エキスパートとしてあらゆる相談を受けることになり、その分責任は大きくなりますが、専門分野のプロ看護師として自身を大きく成長させることにつながります。
管理者の役割を任される
専門看護師は、看護師への教育ができることや、ケアに必要なコミュニケーションを図るための他職種間の調整ができる役割が求められているとともに、それを担える能力が備わっています。
また、看護師やその他職種からの相談役や、家族やケア実施者の間を調整する能力についても学びます。
そのため、患者とその家族だけでなく、他のコメディカルを含む医療チームの中心的な役割を担うこととなります。
高度な看護スキルを持つだけでなく、全体をまとめる能力が高い専門看護師は、管理者として期待される存在です。
資格を取得するまでの流れ
専門看護師資格を取得するには、日本看護協会が定めた段階をクリアしていくこととなります。
資格を取るまでの流れは以下の通りです。
- 看護師資格を取得
- 看護師として5年以上の実務経験、うち3年以上の専門看護13分野いずれかを経験
- 日本看護協会が指定する看護系大学院にて修士課程(26単位および38単位)を修了
- 認定審査(書類審査、筆記試験)に合格
- 専門看護師認定証の交付と登録
資格取得後は、5年ごとの更新のために書類(実践の実績、研修の実績、研究の業績)を提出する必要があります。
働きながら専門看護師を取得するための2つの条件
看護師が専門看護師の資格を取得するためには、大学院への2年間の通学が必要です。
その間にかかる費用は学費だけでも200万円以上は見ておかなければならず、生活費や教材費などの諸費用を含めた概算は600万円以上必要と言われています。
通学条件によってかかる費用は大幅に変わるものの、決して少ないとは言えない負担となります。
そこで考えられるのが、「働きながら専門看護師を取ることはできないのか」ということでしょう。
働きながら資格を取得するためには、これからご説明する2つの条件を満たしておかなければなりません。
休職を認めてもらうor勤務シフトを調整してもらう
専門看護師資格の取得を目指しながら今の職場を続けるにあたって、最もネックとなるのが勤務シフトでしょう。
もちろん大学院で講義を受けている間は勤務できませんし、各テスト前などにはそれに備えるための時間を確保しなければなりません。
そのため、大学院在学中の2年間は、現在の職場に「休職を認めてもらう」もしくは
「勤務シフトを調整してもらう」といった融通を利かせてもらうことになります。
これらが無理な職場では、勤続できないことになってしまいます。
「出張扱い」「派遣研修扱い」にしてもらう
スキルアップや資格取得サポートが充実している施設では、大学院への通学を出張扱い・派遣研修扱いとして処理してくれるところがあります。
つまり、病院に籍を残しつつ、大学院に出張や派遣研修に行っているという扱いをしてくれるということです。
なかには、大学院在学中であっても給料が支給されたり、学費などを補助してくれる施設も存在します。
資格取得サポートが充実している職場への転職を視野に
前述したように、働きながら専門看護師の資格を取得するには、職場のサポートが必須条件となります。
もし現在の職場に資格取得のためのサポートが皆無の場合は、転職をする以外の手段はありません。
働きながら専門看護師を取得する目的で転職をする看護師は珍しくありません。
ぜひ資格取得サポートを受けられる施設への転職を前向きに検討してみましょう。
また、特にこのケースでの転職では、転職サイトを利用することをおすすめします。
なぜなら、転職サイトに在籍する転職コンサルタントは求人先施設の内情を詳しく知っているため、「本当に資格取得のサポートを受けられる施設なのか」を転職前に知ることができます。
専門看護師の資格を取るという志はとても素晴らしいものです。
ぜひ転職サイトを利用して、あなたの看護師人生をより良いものに変えるきっかけを作ってください。