消化器内科とは、食道から胃や腸を経て肛門までの消化管および、消化にかかわる肝臓や膵臓などの臓器までを幅広い領域を診療する科です。 このような対応領域の広さといった特徴から、がん患者の受診数も多いことが特徴として挙げられます。 消化器内科は看護師の転職先としても人気のある診療科なので、転職を検討している看護師は、ぜひこの機会にメリットやデメリットを知っておきましょう。
目次
看護師が消化器内科へ転職するメリットとは?
消化器内科への転職をすることで得られるメリットとはどのようなものなのでしょうか。
看護師が得られるメリットは3つ挙げられます。
個別での看護ケアをしっかりと行うことができる
消化器内科看護師は、他科よりも個別的な看護ケアを行えるのが特徴です。
1人の患者に対して、治療前の検査から実際の治療、回復までの過程をみることができます。
具体的には、検査前の食事管理や日常生活の補助から介入が始まり、実際の検査場面の介助、投薬治療の実施などを患者と一緒に辿ることとなります。
看護スキルをアップする上で、1人の患者を経時的にケアする経験は欠かせないものです。
スキルアップを目指す看護師にとっては、とても貴重な体験となることでしょう。
また、治療過程から実際に回復するまでを見ることができるため、その点にやりがいを感じる看護師も多いようです。
がん治療の見識が深まる
先ほどもお伝えしたとおり、消化器内科はがん患者が多いことが特徴です。
実際に、「がんの見識を深めたい」といった目的で、消化器内科へ転職する看護師も少なくありません。
がんそのものへの知識や、がん治療について、抗がん剤などといったように、がんに対しての様々な知識を学ぶことができます。
がん治療は常に最先端の医療技術が導入されるため、消化器内科では勉強会も頻繁に行われています。
近年では、専門看護師を志す看護師が増えてきています。
専門看護師13分野のうちの一つである「がん看護」の認定を目指している人であれば、消化器内科はその足掛かりとして最適な診療科と言えるでしょう。
看護師として幅広い経験を積める
消化器内科では、先ほど挙げたがんへの治療だけでなく、消化管や内臓全般を扱うこととなります。
したがって、働くなかで身体に対しての解剖学的知識や、治療技術などが幅広く身につくこととなります。
全般的な知識を得ることで、今後他科へ転職することがあったとしても応用的に看護スキルを発揮できることでしょう。
また消化器内科は、患者の年齢層が小児から高齢者までと幅広さがあることも特徴です。
さまざまな年齢の患者とかかわることで、どの年齢層の患者ともスムーズにコミュニケーションがとれるスキルが身につきます。
看護師が消化器内科へ転職するデメリット
看護師のスキルアップの足掛かりとして最適な消化器内科ですが、もちろんデメリットも挙げられます。
時間外労働の覚悟は必要
消化器内科は最先端治療や疾患についての研究が盛んであり、現在の治療法なども頻繁に更新されていきます。
常に最新の知識を学ぶために、盛んに勉強会が行われていたり、学会など外部研修へ積極的に参加する方も多いです。
したがって、業務時間後の院内勉強会への参加は必然となるでしょう。
また、学会などへの院外研修への参加は休日を利用することもあります。
「しっかりと勉強してスキルを上げたい」という人にとってはこれ以上ない環境ですが、一方で「仕事とプライベートを両立させたい」という人にとっては不向きな診療科かもしれません。
精神的なタフさが求められる
消化器内科では、ハードな業務に耐えられる身体の強さだけでなく、精神的にもタフであることが求められます。
消化器内科では末期がんなどの終末期ケアにかかわることが多く、患者の看取りをする場面も出てきます。
そういった終末期ケアに耐えられる精神的な強さがなければ、勤務を続けることは難しくなってしまうことでしょう。
また、がんの告知や治療内容の説明といった辛い役割があったり、患者とその家族のメンタル面のケアを行ったりと、デリケートな気配りを求められる場面がしばしばあります。
患者の辛さに共感しつつも、ある意味で上手く気持ちを切り替えられないと、精神的な負担が大きすぎることになってしまうでしょう。
感染症にかかるリスク
消化器内科では、感染症リスクが他科より高いといったデメリットがあります。
例えば嘔吐や下痢などを伴う季節性の感冒や、ノロウイルスなどは強い感染力を持つため、当然のことながら看護師は十分気を付ける必要があります。
また、ピロリ菌感染によって胃がんリスクが高くなったり、胃潰瘍などの疾患の発症リスクも高くなると言われています。
消化器内科への転職の特徴とは
消化器内科への転職で特徴的な点は、「病棟」と「クリニック」の2つの選択肢があるということです。
病棟勤務では、一般的な看護師業務のイメージどおり、夜勤や残業などもこなすことになります。
一方で、クリニック勤務であれば、夜勤がないところがほとんどです。
場合によっては残業が少ないところもあるでしょう。
「病棟勤務でしっかりと勉強する」ことを選ぶこともできますし、「夜勤なしでマイペースにスキルアップする」ことも選択できます。
ただし、注意しなければならないことは、クリニックは転職先として人気があることです。
したがって、クリニックへの転職では、転職サイトを活用した方がスムーズに転職を実現できるでしょう。