高齢化に伴って、介護や看護が必要な高齢者が急増しています。 しかしながら従来の入院という手段だけでなく、自宅での療養を選択する患者も増えています。 これは価値観の多様化も後押しをしているのでしょう。 厚生労働省の介護給付費実態調査によると、訪問看護利用者数は平成14年では221,700人だったのが、平成26年では349,700人となり、およそ1.57倍に膨れ上がっています。 この傾向はまだまだ続くことが予想されています。 これほど需要がある訪問看護に不可欠な訪問看護師の仕事とはどんなものなのでしょうか。 また訪問看護師に転職するのであれば、何に留意しておけば良いのでしょうか。
訪問看護師の仕事とは
訪問看護師は、病気や障害のある患者が安心した療養生活を送るために、自宅を療養場所として選択した患者を対象としています。
また看護師は患者が自立できるように支援することを目的とし、訪問看護ケアを行います。
具体的には血圧や体温など基本的な健康確認と、カテーテル交換や点滴などの医療行為。
そしてがん患者に対してはがんによる痛みをコントロールし、患者本人や家族への精神的ケアを行います。
また認知症患者に対してはコミュニケーションを取りながら、事故が起きないための措置などを行ないます。
これ以外にも入浴や排泄など、日常生活を支援します。
すなわち訪問介護と異なる点は、日常生活支援だけでなく、医療行為を行うことが訪問看護といえます。
訪問看護師に求められる能力
訪問看護師に求められる能力で最も大切なものがコミュニケーション能力です。
自宅療養している患者のもとを訪問するため、家族とのコミュニケーションも非常に重要になります。
コミュニケーションによって患者が抱える不安を取り除くことができるだけでなく、家族の精神的負担を軽くすることができます。
また訪問看護師は一人で患者宅を訪問することになります。
患者の状態を一人で見て判断し、対応しなければならないわけです。
それには看護師としてのトータルな能力が問われることになり、その分責任は重くなります。
訪問看護師の勤務体制
訪問看護師の勤務は、通常の医療機関と変わらず朝から夕方までですが、ほとんどの看護ステーションでオンコールや休日での対応も行っています。
オンコールや休日の連絡があった時のために待機が必要になりますが、これは交代制で対応することが通常ですので、担当しない日にはゆっくり休むことができます。
訪問看護師が特に苦労しがちな点
患者の自宅を訪問して看護するという独特な仕事の形態のため、病院勤務の看護師とは違った点で苦労しがちなことがあります。
それは患者家族との人間関係です。患者の自宅には常に家族が居宅しているはずです。
常に患者の家族とも接する必要があるため、気が合わない場合には非常に厄介な存在になりがちです。
そしてもう一点が移動の手段です。看護ステーションの担当エリアにも左右されますが、患者の自宅までの移動は徒歩や自転車、車などになります。
どんな天候でも休むことはできませんので、移動が辛い場合も多いでしょう。
訪問看護師の求人傾向
訪問看護師には看護師資格が必要ですが、訪問看護の特性上、一人で全てを判断して対応しなくてはならないことを考えると、看護学校卒業直後の臨床経験のない看護師では対応は困難です。
そのため訪問看護師の求人では、臨床経験が3年から5年以上の看護師を募集しているところがほとんどです。
しかしながら最近では訪問看護ステーションで独自の研修制度を設けるなど、新人看護師や比較的ブランクが長い看護師でも勤務しやすい環境が整いつつあります。
訪問看護ステーションへの転職で気を付けるべきポイント
訪問看護師として転職する際に気を付けておくべき点がもう一つあります。
それは、訪問看護ステーションの中には経営状態が悪く、閉鎖しているところも多いということです。
比較的新しい訪問看護ステーションでも閉鎖しているところが多く、転職の際には経営状態だけでなく、給与面や福利厚生面でもしっかり確認しておくべきでしょう。
これらは転職サイトに登録してコンサルタントからのアドバイスをもらうべきです。
一般求人では経営面までは分かりにくいですが、転職サイトであれば、コンサルタントがある程度把握していますので安心できます。